2020.04.04.No.583
「 コロナで地球のお掃除? 」
なな.
プリンターのインクがなくなっていることに気づき、9時の開店を目指して車で出かけた帰り道、東京より少し遅れて満開となった桜並木の脇を通った。青く澄み渡った空にと淡いさくら色。世田谷にいた時には毎日眼下にあった桜を思い出し手に入れたばかりのスマホで撮ってみた。
新型コロナウィルスがじわじわ広がっている。ヨーロッパもアメリカも戦場のようになっている。日本はどうなるのか?このままぎりぎりで持ちこたえるのか?他国のようになってしまうのか?
4人の大きな大人サイズになった子供たちは毎日所在無さげにただ時間を費やしている。ここで何かに集中すれば差が出るはずなんだけどなぁ。。。などと思いながら、声をかけてみるがこちらが本気でない感じが伝わるのか相手にされない。
お店は?といえば、すっかり暇なのに慣れてきてしまっている。どこかでみんなそうなんだから仕方ないか?と諦めてしまっている。いけない!いけない!何とか工夫して乗り切らないと。テイクアウトに加えお弁当やお惣菜の配達を始めるか。
地球がとうとう強硬手段で自分を守ろうとし出したんだね。と文やお客さんと話している。
このウィルスの影響で、地球はきれいになっているらしい。
「 先陣を切る 」
高 志
桜が散り、若葉が芽吹き始めた去年の今ごろ、遠洋航海実習のため、伸が三崎港からハワイに向けて出港した。それから2ヶ月の間、夜になると灯りすら見えない漆黒の海の上で過ごしたわけだが、伸にとっては苦にならないどころか、益々海が愛おしいものになったらしい。
船から降りてしまえば、別段海に愛着を示していた訳でもなく遊びほうけていたのだから、傍から見ているとそれほど海への愛着を感じることはなかったのだが、どうやら本人にとって海は特別なものであったようだ。
船を降りてからというもの、そのまま夏休みに突入してしまったようなものだったから、2ヶ月分の拘束期間を発散するように遊びまわっていた。周りのものは、一向に見えない進路問題にやきもきしていたころ、ふっと湧いてきたように新日本海フェリーから新入社員募集の話が学校に届いた。何でも、近い将来に横須賀から九州に向かう新航路を設けるようで、そのため乗組員の確保が急務となり、地元である伸の学校に求人があったというのだ。
周りから見れば進路のことなどどこ吹く風で遊びまわっていたようだったのだが、本人はそれなりに進路先の会社をいくつかピックアップして、仕事内容や給与のことなど最低限の資料を集めてはいたようだった。
そんな中で、フェリー業界では最王手の会社から目の前にエサを垂らされたものだから、まさに”だぼはぜ”のごとくそのエサに飛びついたというわけだった。だが、エサに食いついたとは言っても、上手く釣り上げてもらえるかは会社次第な訳で、実際面接を受けて帰って来るやいなや、『やっぱり、1流会社は甘くないや!?』と諦め顔だったので、こちらも当たり前だよなと思っていた。
それからしばらくすると会社から連絡があり、募集した職種では採用には至らなかったが、甲板員として採用する枠ができたが、来る気があるかということであった。元の職種がどういったものかは、こちらは与りしれないところだが、元々甲板員だと思っていた伸だから、それはもうもろ手を上げてお願いしたところ、まさかの採用となったわけである。
採用が決まったからと言って、あの伸が急に社会人らしくなるわけがなく、最後の最後まで学校に迷惑をかけることになり、今年の1月には謹慎処分を受けることにまでなり、まさか卒業すらできないのかとやきもきさせられることにもなった。
どうにかこうにか卒業できたと思ったら、今度はコロナ騒動である。自粛要請が続き、経済問題が深刻になり、1部の会社で採用取り消しに踏み切ったというニュースが飛び込んできた。1月のダイヤモンドプリンセス号の問題に端を発し、フェリー業界の業績悪化は素人目にも明らかだった。そうであるなら、真っ先に取り消されるのは伸たちだろう。3月の1ヶ月はまさに冗談とも本音ともつかない、ハラハラの期間だった。
結局、4月1日の入社式は中止となり、最初の赴任先となる小樽~新潟航路のフェリーに乗船するために、羽田空港から小樽に向かって飛び立って行った。羽田空港へは、僕と進とで送りに行った。伸の同級生はみんな別々の航路になったので、ひとりぼっちの出発となった。初めての飛行機や、新千歳空港から小樽港までの行き方など、わからないことだらけでかなり不安も大きかっただろうが、新調したフレッシャーズスーツに身を包んで、旅立っていった。
展望デッキから伸の乗る飛行機に向かって進が大きく手を振っていたのが、機内からも確認できたようで、LINEで確認できたよと連絡してきた。これから3週間続けて船上の人となり、3週間後新潟で下船して10日間の休暇となる予定だ。兄弟のように育った七菜家・阿部家の子供たち7人の中で、まさかの先陣を切った伸。がんばれ!!
「 時代は変わる 」
マナ
夕方「ウドー音楽事務所です」という電話があった。
ボブ・ディランのコンサートが中止になったので、チケットの払い戻しについてだった。
高校生の時に初めて買ったアルバムは「欲望」だった。
エレキギターを取り入れた、このアルバムは「ディランはフォークを捨てた」とか批判されていたが、私にとっては、過去の人でなく同時代の人としてディランを初めて感じたアルバムだった。
全曲、好きだけど、冤罪のボクサーのハリケーンのことを歌った「ハリケーン」を聴いたときはショックを受けた。
夜11時前、ニュースが終わり、天気予報の時間になった。
BGMにディランの「時代は変わる」が流れていた。
78才のディランは、また日本に来てくれるかな。
ノーベル賞授賞式で、ディランの「はげしい雨が降る」をパティ・スミスが歌っている。
途中、歌詞を忘れてしまって謝りながら。 実は、パティ・スミスは憧れの人なのだ。
私は、残念ながらストレートなのだけど、パティ・スミスにだけはセクシャルな魅力を感じる。
どこかで、彼女のような女性に出会っていたら、バイになっていたかもしれない。
最近、気がついた。なんとなく口元のシワが薄くなっている。
不思議に思っていたら、なぜかわかった。
病院に勤めているし、家のなか以外はずっとマスクをしている。
これに違いない。
0コメント