No.639「梅の季節」「心待ちにしています」「おばあ」

2022.06.11.No639

「 梅の季節 」

なな.

 毎年梅の季節にはいろいろと苦労をする。梅が届いてからの苦労話は過去にたくさん書いたので今日はやめておこう。

 梅は届くまでも結構大変なのだ。 言わずもがなであるが、梅は梅の木になる梅の実である。収穫時をある程度予測して作付けをする野菜であっても、天候によって成長が早まったり遅れたりするものだが、梅の実は全く天候と梅の木任せで大きくなる。

 そして、よし!青梅で出荷できる!となれば時間勝負。大きくなりすぎて木から落ちれば実が痛む。輸送中に蒸れてしまえば、熟して黄色くなってしまう。

 私みたいにわがままな客が「梅干し用に、木成りの熟梅が欲しい」などと言えば、木に成ったまま色付いてやわらかく甘い香りのしているものをそっと収穫して、輸送中につぶれはしないか?傷みはしないか?と心配しながら出荷することになる。

 兎にも角にも梅の木任せ。入荷時期が読めないのだ。それなのに梅干しワークショップのお知らせを早く出さねばならない。先週から毎日カレンダーとにらめっこ。農家さんとのやり取りに忙しい。今年も「木成りの熟梅」が手に入りそうだ。甘くて美味しい梅干しになる!楽しみだ。 


「 心待ちにしています 」

高 志

 不安定な気候だと言われながらも、6月の声を聴いたら梅雨入りするのだから、大局的に見れば不安定でも何でもないのかしれない。要はどこを基準に物事を見るかということなのだろう。 

 それにしても、この気温の低さは困りものだ。梅雨なのだから雨は仕方が無いにしても、気温が2ヶ月も3ヶ月も逆戻りされては身体が耐えられない。

  知らぬうちに大雨警報が出されていた今回のお水採り。実際は梅雨らしくしとしとと降る雨で助かったのだが、同時に出されていた低温注意報はそれに違わず、ストーブなしではいられないほど冷え込んだ。 

 お世話になっている東北釣堀苑が4日間の休みをとっていたが、何でも若旦那のとも君が腰痛を再発してしまったのが原因だそうだ。大型連休の疲れとこの寒暖差の激しさで、腰が悲鳴を上げるのももっともだ。 

 かくいう僕も、動けなくなるほどではないにしろ、腰の痛みや重だるさは常につきまとい、スッキリしない日々を過ごしている。そういう年齢だと言われてしまえば元も子もないが、気持ちばかりは若き日のままだから具合が悪い。

 具合の悪さは社会の動きも同じようで、ウクライナ情勢の影響で輸入品がストップしているものが出始めた。更に原油高の影響も加わり、各種の値上げにとどまらず、国内生産品であっても棚から品物が消えるものまで出てきている。この秋には更なる値上げ、品薄なんて噂が流れているが、果たしてどうなることやら。

 ただ、年初にはこの夏は冷夏になりそうだと言われ、それに伴いかなりの米不足にが懸念されていたのだが、どうやらかなり厳しい暑さになりそうで、今度は電力供給が間に合わず目標数字のない節電努力が今から叫ばれている。 

 バランスが悪いと、必ずひずみが生じる。偏向すればするほど、そのひずみは大きくなる。大事に至らないことを願うばかりだ。 


 話は変わって、我が末っ子の進が日々汗を流している高校野球の夏季大会の概要が発表された。来月初旬から3週間ほどをかけて3年生最後の大会が行われる。今大会も、部員不足のため合同チームが6チーム組まれることになったが、今までのような2,3校の合同チームでは無く、5,6校による合同チームが半分を占めているのに驚いた。 

 大会開幕まで1ヶ月という段階なので、もうすでに合同チームとしての活動が始まっていると思われるが、5,6校の合同チームとなると平日に全メンバーが揃って練習するのは無理だろうし、週末だけ集まってのチーム練習ではかなりの困難を極めると思われるが、それでも最後の大会に参加出来るというのは、何事にも代えがたいことなのだろう。 

 それなのに、いわゆる甲子園常連校と言われる名門校でも、未だに監督・コーチによる暴力やパワハラ問題がネットを騒がせている。この春に高野連から不祥事を起こした高校とその処分が発表になったばかりだが、それとは別の事例だけにこの夏の大会にどんな影響が出るのか心配だ。 

 大会まであと1ヶ月と言う大切な時期に梅雨というのも、まさに水を差されたようで可哀そうなの気もするが、そこはどのチームにとっても同じ条件なので、悔いの残らないように日々を過ごしてほしいものだ。 

 丸2年止まっていた様々なものが、ここにきて動き始めている。大会概要を見ると、まだ高校野球につきもののブラスバンドの応援はできないようだが、それ以外の応援はできるようなので校友だけにとどまらず、それ以外の高校野球ファンとともに、彼らの一挙手一投足を見守りたいと思う。 

この夏は、何試合見に行けるかな!?


「 おばあ 」

上田 隆

 1990年夏、鳥取県大山で ”いのちのまつり” があった。私は友人夫婦と遊びに行った。 広いスキー場は長髪と個性的なファッションであふれかえっていた。ライブで踊りまわっていたが、二日目に台風が来ると言う。テント泊は危険なので大きな体育館が避難場所になる。 

 友だちのカミサン、ノリコが 

 「鳥取市におばあがいる。そこに泊めてもらおう」 

 避難支度をしていると、顔見知りたちが 

 「なんだ? どこへ行く?」 

 説明すると

 「卑怯者!」 と笑った。


 おばあが満面の笑顔で迎えてくれた。私は40歳、ノリコは30代半ばだったので、おばあは60代ぐらいだったかな。

 分かるかな? と思いながら 

 「ヒッピーのおまつり」 と言うと

 「分かる、分かる エエ人たちやんか。私も行く。台風過ぎたら連れて行って」

 おいしい晩御飯で一杯をご馳走になる。ノリコの美味しい料理は何回も食べさせてもらったが、あの味はおばあ仕込みだったのだ。


  台風一過、われわれはおばあを連れておまつりへ。 

 木陰の下でおばあは緋毛氈を敷き、野点を始めた。私たちは少し離れて眺めていた。ヒッピーの親玉ポン、重鎮サワがやって来た。おばあが楽しそうにおしゃべりしている。 

 ポンとサワが 

 「一番の年齢の方だろう。あ~いう人たちにも来てもらわなければな」

  おばあはヒッピーたちとおしゃべりし、笑い転げている。

 帰りにも泊めてもらい、魚料理をご馳走になった。


 後年、不自由になったおばあはノリコの元へ身を寄せ、10数年前に亡くなった。  

ラ・ラビアータたより

都会の子供に美味しい山の湧水を飲ませたい。1995年、友人の言葉をきっかけに、会員制で南会津の湧水を宅配し始めてから月2回のペースで発行を続けているLettela L'Arrabbiata/ラ・ラビアータたより。オーガニック七菜の日々がつづられている。水の里、キャンプ、イベント、出産/子育て、開店、ケータリング、料理…過去から現在まで、七菜の歴史である

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